
皆さんこんにちは!
株式会社島工業、更新担当の富山です。
――老朽設備から最新仕様へ、安全・正確にバトンタッチ!
今回は、私たちが担当した「エプロンコンベアの更新工事」について、現場の様子を交えながら詳しくご紹介します。
産業プラントにおけるコンベアラインは、まさに“動脈”。特にエプロンコンベアは、重量物や高温物を安定して搬送する重要な設備です。それだけに、更新工事の一つひとつの工程には高度な専門技術と、現場力が求められます。
エプロンコンベアとは、鋼板製のプレートをチェーンで連結し、摩耗性・耐熱性の高い物質を運ぶための搬送設備です。
特徴は以下の通り:
高温・高湿・粉塵の過酷な環境でも耐久性を維持
鋳物やスクラップのような形状が不定形な物体にも対応可能
ベルトコンベアでは困難な重負荷の搬送に適する
つまり、「とにかく頑丈でタフな搬送設備」と言えるでしょう。
しかし、どれほど頑丈でも、長年の使用によってチェーンリンクの摩耗やプレートの破損、駆動部のトルク異常などが蓄積していきます。これが進行すると、ライン停止の原因になるだけでなく、周辺設備や作業員の安全にも関わるため、計画的な更新が欠かせません。
今回の現場は、某製造工場内の炉前ラインに設置された大型エプロンコンベア。更新の目的は以下の通りです:
チェーンリンク摩耗による搬送ムラの解消
走行時の異音・振動の抑制
緊急停止率の改善
メンテナンス頻度の軽減
対象設備は全長およそ10m、幅は約1m。設備の据付環境は、粉塵・油分・熱気の三拍子が揃った“ハードな環境”。まさに私たちの出番です。
まずは、既設コンベアの寸法を綿密にチェック。
搬送ルートの水平・傾斜の角度確認
駆動モーターの配置と配線経路
据付ベースの経年劣化状況
ここでミスがあると、後工程で据付誤差が発生してしまうため、最新の3Dレーザー測定器も使用し、±1mm以内の誤差で記録しました。
古いコンベアを撤去する際は、特に“溶接部の切断”と“重量物吊り出し”が要です。
重さ数百kgに及ぶプレートやフレームを、ホイストやチェーンブロックで慎重に取り出します。
現場では火花を散らしながらの切断作業。粉塵が舞う中、防塵フード・マスク・防火手袋などの保護具はフル装備。
搬出時は、他の生産設備を傷つけないよう、緻密なルート設計を行いました。
新しいエプロンコンベアの組立では、特にチェーンの噛み合わせとテンション調整に注力。
また、施工現場が傾斜地だったため、水平レベルの確保に時間をかけました。
チェーンテンション調整 → 伸び具合のバランス取り
搬送プレート → 異物の噛み込みリスク軽減加工
ガイドレール調整 → 滑らかな搬送ライン確保
据付が完了したら、空運転と実荷重運転で稼働チェック。
振動測定
異音検知(低周波異常音も含む)
温度異常(ベアリング周辺)
緊急停止時の復帰テスト
不具合ゼロを確認した後、作業完了報告書と操作マニュアルを作成し、お客様へお引き渡ししました。
今回の現場では、粉塵・熱気・油分が混在するため、安全管理も一層厳しく運用されました。
作業員は全員、防護服+フルフェイスマスク装着
定時KY(危険予知)活動によるリスク意識の共有
2人1組体制でのダブルチェック
毎日の熱中症対策と体調確認
作業員のひとりはこう話していました。
「普段、当たり前に稼働しているコンベアでも、裏側の仕組みやメンテの大変さは意外と知られていない。そこを支える仕事に誇りを持ってます。」
まさに、縁の下の力持ちと呼ぶにふさわしい現場でした。
エプロンコンベアの更新は、「単なる部品の交換」ではありません。
それは、稼働率の向上、トラブル削減、そして従業員の安全性確保という経営面にも直結する投資です。
私たちは、これからも設備更新・メンテナンス工事を通じて、産業インフラの安定稼働を支えてまいります。
次回もお楽しみに!